最近、見た作品から考えたこと…

no-bu

2007年11月30日 08:13

最近、時間がないというか、精神的に余裕がなかったというか、そんなこんなで好きな映画を見ることが少なくなっているんですが…。
久しぶりに見た作品のことを書きたいと思います。


まずは、周防正行監督の『それでもボクはやってない』。
あの『Shall We ダンス?』以来、11年ぶりに監督がメガホンを取った!ってことで、以前から凄く興味をもっていました。
ある意味、被告の側に偏った視点での描写にも写りますが、電車で痴漢に間違えられた青年が、裁判で自分の無実を訴える姿を通して、現在の日本の裁判制度の問題点を浮き彫りにする作品であることは間違いないと思います。

私も社会科教師として授業で「裁判制度」についてふれますし、これから始まる裁判員制度についても勉強し、そのことについても授業で扱いました。
が…、やはり実際の裁判がどのように流れていくのか、また弁護士と検察官、そして裁判官の信条や立場などの事情が複雑に絡み合い、「判決」が出されていく様を目の当たりにして、少々複雑な気持ちと恐怖を感じました。
警察の取調べや検察のずさんさに関しては、最近のえん罪事件などの報道からも見て取れますが、裁判官の人事にもいろんな事情があるんですね。また、そうした人事それ事態が判決に影響するだろうことを想像することは難くありません。

当たり前の言い回しですが、人が人を裁くということは本当に難しいものです。
裁判官や警察・検察も一人の人間ですから、感情や色々おかれている事情もあるだろうけど、えん罪で裁かれた被告人の無念さは計り知れないものがあると思う。
今後、裁判員制度が始まるとどうなるんだろう・・・?
本気で考えさせられました。
 
続いて、今更ですが『バベル』見ました。

この作品、私の大好きな『21グラム』という作品と同じ監督さんの作品と言うことで、凄く期待してみました。

期待通り、複雑に絡み合う人間模様を見せる監督さんらしい映画だなというのが率直な感想です。
ご存じのように、この映画のタイトルの「バベル」は聖書の中の「バベルの塔」の話を由来にしています。その話とは、簡単にいうと次のようなもの。
かつて言語は1つでしたが、そんな中、人々は神に近づこうと天まで届く塔(バベルの塔)を建てようとしました。しかし、これを見た神は言葉が同じことに、人々のその欲望の原因があると考え、人々の言葉をばらばらにすることにしました。そして、その結果、人々は混乱し世界中に散っていったというわけです。

この作品の評価を見ていると、賛否両論いろいろありますが、上記のようなタイトルからこの作品の内容に迫ると、この作品で監督は、現代の世界の言語の壁・コミュニケーションの壁を描こうとしたということでしょう。

ボーダレスと言われる現代の世の中で、言葉が同じだとしても、友人・親などの身近な人たちと心を通わすことの出来ない人が多くいる。さらに、人種、国のボーダーをもとにした争いが常に絶えない。そうした、心の通わない原因、争いの原因も全ては、私たちの心の奥底にあるものである。それもこの作品は、示唆しています。同時に、そこには絶望だけが待っているのではなく、わずかながら、私たち人間同士を繋ぎ合わせるものを存在すること、それが希望であることが作品のラストシーンには示されていると感じました。


そして、ノーベル賞を受賞したゴア氏の『不都合な真実』。

厳しい言い方をすると、これは映画というよりは、ゴア氏の政治プロバガンダとも評価できる作品ですが、現在、世界中の人間が問われている環境をどう守っていくのかという事に関して、色々と考えさせられる作品ではあります。

地球の誕生から46億年。

現在を1月1日だとすると、「産業革命」は12月31日の12時57秒。

そうなんです。
地球誕生から考えると、人間が現在のような物質的に豊かな世界を築くきっかけともなった産業革命からまだ3秒しかたっていないんです。

その3秒の間に、人間は異常なスピードで多くの環境を破壊してきたというわけです。
そういった観点からすると、今のままでいくと将来の地球の姿を想像するのは、そう難しいことではないでしょう。
今度、教材として生徒と一緒に考えてみようと思います。


最後に『アドレナリン』。

大好きなジェイソン・ステイサム主演の作品と言うことで、かなり期待して見たんですが…。

正直、何でもいいから、とりあえず流しておくか…というときに見る作品です。
真剣に見たい方には、あまりおすすめできません。
正直、ストーリーの中身はほぼゼロに近いです。
この作品になにかを求めてはいけません。
もし、見る気があるのなら、何も考えずに観てみてください。

以上、最近みた作品でした。

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