読書の記録~『視点をずらす思考術』
書名がすごく私を引きつけた。
「視点をずらす思考術」
少し視点をずらすだけで違う世界が見える
第1章 社会の多数派からずれる
第2章 国家を懐疑するまなざし
第3章 多面的矛盾に満ちた「現代の不安」
第4章 あえてメディアをずらして見る
第5章 脱線をおそれないアウトサイダーたち
第6章 日々の暮らしのなかのモノの見方
付けたしのエピローグ
帯には、次のように書かれている。
空気を読むのをやめてみないか!
メディアの常識に従わずに世界を見つめる試み
だから天然のKY(空気読めない)である僕は思う。
時代状況を考えれば、もう少しKYが増えたほうがいい。
全部とは言わない。
全部がKYになってしまったら、
その瞬間にたぶん社会は崩壊する。空気は重要だ。
場を読む力も必要だ。
でも特に今の日本社会についていえば、
KYがもう少し増えたほうがいい。
あまりに息苦しい。
あまりに均質性を要求されすぎる。
だからあなたにも考えてほしい。
空気を読むことと空気に従うこととは、必ずしもイコールではないはずだ。
世の中にはKYの方々が結構いますが…。
でも、確かに全てが過剰に空気を読もうとして、空気に合せる=同化しようとしたら危険でしょう。
日本だけじゃないと思うけど、政治だけでなく色々な場面で感じることは、日本中が二項対立で物事を議論する傾向があるということ…。
いまの国会での議論もそう。
簡単にいうと、多様性がない。
そうした傾向に対して、筆者は次のように主張する。
角度を変えて物事を捉えてみる。
時差をつける。
逆の発想をしてみる。
確かにそうした思考法が大切であると思う。
本書では、これまで発表されたものを加筆修正して一冊の本に仕立てている。
であるから、内容としては、政治・憲法・メディア論等、多種多様な側面から、あえてKYであり、「個」を貫いてきた筆者の生き方、そして、その生き方を支えてきた思考法が紹介されている。
でも、読んでみての感想としては、あまりに期待しすぎた…、というのが率直なところ。
確かに、「視点をずらすこと」は大切である。
その事により、今までにない見方、感じ方、考え方ができるから。
それにより、より協同的で創造的な議論が展開される。
けど、森さんが書いている事は、多くの場面でうなずけるが、実はそれは、人とちょっと違った見方をしているだけで、それが視点をずらしているのかどうかという事と、同時にそのような一般的でない、アブノーマルな思考法だけに偏って物事を見る事の危険性も考えないといけないのではないかと考えた。
視点をずらすことの有効性や大切さについて書きたかったのだろうが、私にはずらした上での私の視点をあまりにも強調しすぎるな~という気がした。
みなさんは、どのように感じるだろうか?
あまり、お薦めの本ではないけど、2~3時間でさっと読める内容なので、気になる人はどうぞ!
関連記事