おもてなし?ほんまモンのロビー活動は、そんなもんちゃうよ!

no-bu

2013年09月11日 11:09


7日に行われた五輪開催都市争いの最終プレゼンテーションに登場したフリーアナウンサーの滝川クリステルさん(35)に仕事の依頼が殺到しているらしいですね。滝川さんは流暢なフランス語で東京の安全を訴え、日本の「おもてなし」の精神をアピールし五輪を東京に引き寄せました。このプレゼンテーションがかなりの票を引き寄せたのではという見方もあります。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/wide_show/?id=6090261
 しかし、それにも増して招致活動が成功した一番大きな要因に「徹底したロビー活動の成功」があげられています。「ロビー活動」とは、Wikipediaによると次のように説明されています。
「ロビー活動(ロビーかつどう、lobbying)とは、特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動である。議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となる。ロビー活動を行う人物はロビイスト (lobbyist) と称される。」
「日本において、ロビー活動は利権団体と政治家との癒着・買収の一形態というイメージが強く、快く見られないことから、表立って行われることはない。このため他国と比べてどの程度影響力があるか定かでない。」
「ロビイストを雇用する団体は多くの場合政治家への政治献金も同時に行っている。このため、ロビー活動が政治の腐敗と関係づけられることも多い。政治家が国民の主義主張ではなく、特定の後援者の利益に沿った政策を唱えることに批判がなされている。」
オリンピック招致に関してみていくと、IOC委員に対して行われる日本招致委員による働きかけが、直前になって接戦だった招致活動の流れを一気に引き寄せたというわけです。上記のように日本では、政治にかかわってみていくと癒着や腐敗との関連であまりよく見られないので、表だって話題となることはないのですが、それに対して、アメリカではロビー活動に長けたロビイストが3万人以上いると言われ、政治家などに日常的に働きかけを行い、大きな影響力を持っているといわれています。
さて、このアメリカにおけるロビー活動について、最近読んだ本に次のような事実が!
 「私の子どもが小学生だったこと、アメリカの小学校でときどきお弁当の代わりに学校給食を買わせると、かなりの頻度でピザが出されていました。ピザに塗られているトマトソースが、なんと「野菜」として数えられるため、ピザは「バランスの取れた食事」として勘定されるのです。ピザに塗られたトマトソースの量はせいぜい8分の1カップ程度の量ですが、それが半カップ分として数えられるのです。このピザソースの「水増し」は、加工食品会社のロビー活動の影響によって決められたものです。学校給食に何を出していいのかはスクールランチ法によって定められていますが、激しいロビー活動によって、トマトソースが「野菜」としてカウントされるようになってしまったのです。」
なんとまあすごい事実です。
この事実をさらに広げてみていくと、“高い有機野菜”を使った弁当を持たせることができる家庭か?それが物理的にできない家庭か?によって、子供の健康に大きな差が出てくるということにつながります。米国では中産階級の弱体化による貧富の二極化が深刻化しており、ほとんどの貧困家庭が夫婦共働きとならざるを得ない状況があります。また、経済的理由だけでなく、共働きにということで、時間的にも生鮮食料品を買って健康にいい食事を用意することができない状況にある家庭が多いようです。そのため、ますます多くの人が価格の安いファーストフードや加工食品に流れ、小児肥満などの深刻な健康被害が再生産されていうというわけです。そういう視点でみていくと、上記のロビー活動が何を意図しているかわかりますよね。そう、ファーストフード、ジャンクフード業界の利益を上げるためのものであったということを…。アメリカの多くの人が、自分の生活がこのような裏の面をもったロビー活動によって仕組まれて箍にはめられてしまっていることには気づいていないでしょう。
では、その枠組み、箍はだれがどのように準備するのでしょうか?そう、もちろん、政界中の利益を貪る巨大企業たちです。その巨大企業が、自ら一人勝ちする仕組みを創り上げながら、産業やビジネス、消費の在り方を根底から変え、私たちの生活に影響を与えていく、そのリアルな実像に迫っているのが、今回紹介する「企業が『帝国化』する~アップル・マクドナルド・エクソン 新しい統治者たちの素顔~」です。
本書は、大ヒット商品iPodの発売を機に大きな変貌を遂げた米アップル社を内側から見てきた著者が、独自の視点でアップル、グーグル、マクドナルド、エクソンモービルなどの巨大企業を分析。一人勝ちする仕組みを創り上げながら、産業やビジネス、消費の在り方を根底から変え、私たちの生活に影響を与える「私設帝国」とも呼べる企業たちの実像に迫ります。ここでいう「私設帝国」とは著者の造語で、それを満たす条件として以下の3つを挙げています。
1、ビジネスの在り方を変えてしまう
2、顧客を「餌付け」する強力な仕組みを持つ
3、業界の食物連鎖の頂点に君臨し、巨大な影響力を持つ
私もまさに自分のことだ!とウチアタイする事実がそこにあります。アップルはiPodとiTunesストアにより、音楽の聴き方や販売方法を一変させました。iPhoneを使い始めれば、もうそれ無しの生活には戻れません。そしてアップル社の製品で周辺機器を揃えればリンクも同期も楽にでき、もう他社の製品を使うことは難しくなります。まさに、そう!そう!と思われている方が多くいらっしゃるのではないでしょうか?本日、ドコモがiphoneの発売を正式に発表しましたが、このことはある意味で、日本のドコモが世界のアップルに戦略、枠組みの中で箍にはめられていく、そして、ユーザーたちもそれに合わせて箍にはめられていくスタートと見ることもできるのではないでしょうか?
話を元に戻しましょう。他方で、企業が帝国化していく上で、食や安全に関することでも全て合理化・均一化されていく流れがあります。一例として、本書では、マクドナルドがどのように安く均一な食材を生み出しているか、そしてマクドナルドにその食材を供給している畜産会社がどのようにその食材を「製造」しているかが示されています。高校の地理でも勉強したと思いますが、フィードロットという方法を使って、早く成長させ、より多くの肉やミルクを生み出すために、柵の中に入れて運動を制限しながら、濃厚飼料、ビタミン剤、飼料添加物などを管理しながら与えて生産されているのです。過剰の飼料の投与と狭い窮屈な空間での飼育過程で病気にかからないように、常時飼料には抗生物質が含まれ、薬漬けにされた食肉、ミルクが製造されています。そして、それを私たちは日常的に口にしているというわけです。当然、それらの肉、ミルクを常時、食している人間に及ぶ影響は測り知れません。アメリカの若年層に、とくに貧困層のそれに肥満が多いのも頷けます。ホルモンのバランスが崩されているのがその原因の一つになっているのでしょう。
 国の枠を超えて、帝国化をすすめるこれらの巨大企業。そして、そうした巨大企業の利益を生み出すための政策づくりを裏でサポートするロビイストの存在。そこで築きあげれた仕組みの中で、気づかないうちに箍にはめられ生活している私たち。さらに言えば、世界は今後、そうした(搾取の)仕組みをつくり牛耳る力を持ったごく少数グローバルエリートとその中に入ることができない人々は、それらのエリートに使われる側に位置し、単純で低賃金の作業に従事する(搾取される)貧困層、そして、その仕組みの中で消費を強いられる消費者という三層に世界は編成されていくのかもしれません。新しい階級社会づくりが今まさに着々と行われているのかもと考えると恐ろしいですね。

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