読書の記録【「アメとムチ」の構図】

no-bu

2009年01月06日 07:39

今日、紹介する本は、

「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕 渡辺豪著 沖縄タイムス社




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「沖縄タイムス」で連載していた『「アメとムチ」の構図—普天間移設の内幕』がまとめられて一冊の本として出版された。
私の住む町を混乱させる「辺野古新基地建設」の問題である。
本書は、基地移設を巡る舞台裏で繰り広げられる人間ドラマを描いたものである。
防衛大臣や防衛事務次官、名護市の市長、建設業者などの実名があげられ、彼らの政治的駆け引きの様子が生々しく描かれる。
こうした内容がここまでリアルに描けるのも、本書が前那覇防衛施設局長「佐藤勉」氏からのリークを元に書かれたものとなっているからであろう。
佐藤氏は、守屋防衛事務次官が逮捕された事件で東京地検特捜部に徹底的に調べられたこともある普天間基地移設計画のプロセスを知るキーマンの一人である。
彼が本来なら闇に葬られるはずの舞台裏の出来事をここまで赤裸々に空かすのも、彼がそれまで絶大な信頼を寄せていた守屋に対して、突然の施設局長の交代という裏切りにあったという思いが強いからであろう。
また、同時に、これは(私自身もそう思っているのだが)あれだけの捜査をやりながら、ここまで裏側が明らかになっていながら、汚職に関わっているであろう政治家を一人も逮捕できない検察に対する佐藤からの皮肉(嘲笑)の意味も込められているのではないかと感じた。

現在、政府は、米軍再編推進法に基づく交付金を盾に、要求を一方的に押し付けようとする手法をとり続けている。
あからさまなまでの「アメとムチ」のこの強引な政治手法は、政府が昨年、北部振興費を凍結すると表明したときから、一貫して政府がとり続けている姿勢である。
これは、戦国時代の兵糧攻めと同じやり方を、政府に異議を申し立てる自治体には、露骨に行いますという表明でもあった。
基地移設に関した地域の声を無視した政府のこうした理不尽なやり方は、問題をさらにこじらせ、民主主義への不信、議会政治への不信をさらに増幅させるだけである。

本書を通して、これまで苦渋の選択を押しつけ続けてきた政府の非民主主義的政治手法のあり方を、今一度多くの方々に知って欲しい。
そして、こうした強権的な「アメとムチ」の構図を如何にして、下からの民主主義的動きによって破壊し、新しい秩序を構築するかという動きに繋げていけたらと強く願う。






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