映画「コンテイジョン」(洋画)

no-bu

2012年02月28日 08:00

「恐怖はウイルスより早く感染する」

最近、この手のウイルス感染にかかわるパンデミック(ある感染症、特に伝染病が、顕著な感染や死亡被害が著しい事態を想定した世界的な感染の流行)ものって流行の傾向がありますが…。

見出しにもありますように、新型ウイルスへの感染の恐怖とそのウイルスへの対応に追われる人々の姿だけでなく、今回の作品が少しスパイスを加えたところとしては、情報化社会におけるウイルスにまつわるネット情報の持つ恐ろしさとそれにうまみを感じる人間たちの(ある意味ウイルスよりも)恐ろしさが印象に残る作品を鑑賞しました。



「コンテイジョン」原題:CONTAGION
監督:スティーヴン・ソダーバーグ 
出演:グウィネス・パルトロー、マット・デイモン、マリオン・コティヤール、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジェニファー・イーリー

「トラフィック」「オーシャンズ11」のスティーヴン・ソダーバーグ監督が、ハリウッドの人気俳優たちで描く感染パニック・サスペンスです。



大まかなあらずじは次の通りです。

香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。
時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。
一方で、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。
その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。
国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは?


新型ウイルスによって世界中が混乱に陥っていく物語です。
風邪に似た症状が出たと思ったら、脳が犯されていきなり呼吸停止で亡くなってしまうような毒性の強いウイルスの発生により世界が混乱していきます。
第一感染者はアメリカ人のベス(グウィネス・パルトロー)で、彼女は帰国して何日もたたないうちに亡くなります。(こんな感じで…)



しかも、幼い息子もほぼ同時に亡くなってしまいます。

上にも書いたように、今までのウイルス感染+パンデミックものにくらべるとアクセントがあって面白い部分はありますが、キャストがある意味、あまりにも豪華すぎで、いったいだれを中心に据えて見ればよいのか分からなくなる部分もあるし、淡々と同じような雰囲気で物語が流れていくといこともあって、ちょっと飽き飽きしてしまう感もあります。

しかし、特筆させるのは、情報化社会に潜む影の部分で、それが仮にそういうウイルス感染が起こった場合に、そのウイルス感染よりも恐ろしい力を持つのではという恐怖感です。

本作でも、新種のウイルス感染の広がりに乗じて、名声をあげ、儲けようとたくらむ奴らが登場しますが、間違いなく、いまそのようなことが現実となりそうな恐ろしさがあります。
作品中、自称フリーライターのアラン(ジュード・ロウ)が、ブログで「政府は有効な治療薬を隠している」などといった陰謀論を主張し、人々の不安をあおるような情報を流したり、「正しい治療薬」なるものを提示し嘘の情報を、信憑性を高めるような芝居の映像と共に流します。
で、そのブログの閲覧者が1200万人も生まれ、人々がその情報に踊らされていく訳です。
さらには、そうしたネットの情報+ウィルスに対する恐怖は、商店の焼き打ちや略奪などといった暴動やワクチン目当ての誘拐事件発生にまで繋がっていきます。

昨今、非常にブログやFB、TWITTERなどコミュニケーションツールが発達してきましたが、いま最も怖いのは、ウイルス感染よりも、そのネットを通じて蔓延するデマなのかもしれません。

「評価 ★★★★★ ★★☆☆☆ 70点」




(あらすじ)☆ネタバレ注意!
ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロウ)は香港出張の帰り、夫のミッチ(マット・デイモン)が待つミネソタの自宅に向かわず、シカゴで元恋人と密会する。
だが、ベスは咳と熱を発症しており、同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていた。
その事件に疑惑を抱いたフリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)は、政府が伝染病を隠しているのではないかとブログで指摘する。
さらに帰国から2日後、ベスが死亡し、続けてベスの連れ子クラークも命を落とす。
報告を受けた世界保健機構(=WHO)のドクター・レオノーラ・オランテス(マリオン・コティヤール)たちが、続いてアトランタの疾病予防センター(=CDC)が調査に乗り出す。エリス・チーヴァー博士(ローレンス・フィッシュバーン)の指示でミネソタに派遣されたドクター・エリン・ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は、感染が疑われる人々の隔離を実施。
カリフォルニア大学の医師が、コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスであることを解明したが、現時点では治療法もワクチンもない。
WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。ワクチン開発に全力が注がれるものの、ウィルスは変異し、恐るべき速度で感染拡大してゆく。
折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているとの噂が広まったことから、中国衛生部のスン・フェンが故郷の村人のワクチンとの引き換えとして、オランテスを拉致。任務途中で感染するミアーズ。恋人に極秘情報を漏らしてしまうチーヴァー。
娘を家に閉じ込めるミッチ。それぞれが愛する者を守ろうとする中、アランは政府が有効な治療薬を隠していると主張。恐怖はウィルスよりも早く感染し、パニックを起こした人々によって、各地で暴動が勃発する。それぞれが選んだ決断は……?
そして明かされるウィルスの発生地点とは……?


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