映画「モンスター上司」(洋画)
最近、とにかく洋画の邦題のセンスのなさには、飽き飽きしているのだが、今回、鑑賞した作品ほど、的を得たものはない。
さらには、体調の悪いときは、やはり、こんなおバカな作品に限る!とつくづく思った。
で、今回、紹介するのが、その名も「モンスター上司」
上司に“ハラスメント”を受けている人は、どれくらいいるのだろうか?
実際に、私自身もこれまでバイトの時から数えると、これは“ハラスメント”だと感じた瞬間は何度もあった。
時に、東京で派遣のバイトをしているときの、ハイミス上司のパワーハラスメントは凄かった。
気の弱い僕は、時に胃がキリキリ痛むほどだった。
今回鑑賞のこの作品に登場する3人の主人公達も上司に毎日酷く苦しめられている。
そんな彼らは、さすがにその酷さに我慢できなくなる。
見られたら分かると思うが、そう思うのも無理はない。
そのハラスメントの内容は、見ているこっちも少しイライラするくらいだから…。
で、しまいに3人は、そうした酷いそれぞれの上司殺害を思いつく。
が、とにかくおバカさんな3人は、深く考えずに行動に移すから、当然その計画は穴だらけというわけ。
さて、事の顛末は、どうなることやら。
で、この作品のおもしろさにさらにエッセンを与えているのが、作品中では“悪役”で登場する上司3人。
おバカさんたちは、日本ではあまり知られていない俳優を起用しているのだが、それに対して悪役としてスターを起用している。
ケビン・スペイシーのサディスト上司は、実にハマり役で、その酷さといったら、自分がその場に立たされたらと思うとぞっとするし、コリン・ファレル(ハゲヅラだから最初は気づかなかったが)のヤク中のバカ息子のあまりの世間知らずで、自己中心的なあの考え方にため息が出たし、また、ジェニファー・アストンのエロ・キャラは、俺だったら“喜ぶかも”とちょっと、当事者でないから何も考えず、ただエロイ発想させられてしまうし、といった感じ…。
ところで、「ワーナー エンターテイメント ジャパン」は、この「モンスター上司」を公開するにあたり、 20~39歳の有職者男女500名を対象に「上司」に関する意識調査を実施したらしい。
そこでは、次のような結果が出たようだ。
少し長くなるが、読んでみて欲しい。
(1) まず、「あなたは職場に“苦手”または“キライ”な上司がいますか?」とたずねた
ところ、67%と約7割が「いる」と回答。
(2) そこで具体的に“苦手”“キライ”なポイントを聞くと、「すべてのことに自慢が入り、話が長い」(28歳・女性)、「仕事が出来ないのに偉ぶって、ミスを部下のせいにする」(28歳・男性)、 「上司らしくない。甘えん坊で、だらしない」(31歳・女性)などの声が寄せられた。
(3)また、「あなたの会社に『モンスター上司』(部下に対して、自己中心的な態度をとったり、不快な思いをさせたり、理不尽な要求をしたりする上司)はいますか?」とたずねると、39%が「いる」と回答。約4割のビジネスマンが、自分の上司を“モンスター上司”だと認識しているようだ。
(4)さらに職場の上司たちの言動について詳しく聞いたところ、「部下によって態度を変える上司がいる」 (55%)、 「人格を否定するような言葉遣いをする上司がいる」(39%)、
「部下の手柄を横取りしようとする上司がいる」 (24%)など、 “パワハラ(パワー・ハラスメント)”気味の上司が多いことがわかった。
(5)また、「下ネタを言う異性の上司がいる」(18%)、「休日やプライベートにしつこく誘ってくる異性の上司がいる」(6%)との回答もあり、異性の上司からの“セクハラ(セクシャル・ハラスメント)”に悩まされている部下もいる。
(6)そして、「自分よりも能力が低いと感じる上司がいる」(47%)、「すぐに感情的になる上司がいる」(46%)といった声もあり、仕事面や精神面で、上司を未熟だと捉えている部下は少なくない。
(7)ちなみに、「上司に対して“いなくなってほしい”と思ったことはありますか?」
と聞くと、61%が「ある」と回答。 続けて「上司が違う人にかわったら、
自分の職場はもっと快適になると思いますか?」という質問には、 63%が「思う」と回答している。
この結果からも、この作品の内容は、誇張表現でも何でもなく、リアルな世界を描いているのかもしれない。
「モンスター上司」
監督:セス・ゴードン
出演:ジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス、ケヴィン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス、ドナルド・サザーランド、ジュリー・ボーウェン、ヨアン・グリフィズ
ところで、最初にも書いたように、主人公3人が勤める各職場のモンスター上司たちはかなりの強者。
ケビン・スペイシー、ジェニファー・アニストン、コリン・ファレルとそれぞれピンで主役を張る大物俳優たちが嫌みたっぷり+存在感たっぷりに上司役を演じている。
モンスター上司の筆頭格"パワハラ上司"を演じるのは、ケビン・スペイシー。
昇進をエサに、部下のニック(ジェイソン・ベイトマン)を奴隷のようにこき使う。
その上、出社に1分遅れただけで、ネチネチと責め続ける神経質な性格の持ち主。
“セクハラ女性上司”は、ジェニファー・アニストンが演じている。
婚約したばかりの助手デール(チャーリー・デイ)に対し、勤務中にエロトークをガンガン炸裂させ、身体の関係を迫るる歯科医役。
3人目の“バカ息子上司”は、コリン・ファレルが演じる。
はげ面なので最初は、気づかない方も多いかもしれない。
先代社長にかわいがられていた経理担当のカート(ジェイソン・サダイキス)に、焼きもちを焼いてか、有害廃棄物の違法投棄を指示したり、職場のトイレであたりまえのようにコカインを吸うわ、自分の遊ぶ金ほしさに、どんどん社員を首にしようとしたり、何のコンプライアンスもそこには存在しない。
そんな、凄い上司たちをどのような方法で、ドタバタ3人組は、痛めつけるのだろうか?
さあ、おたのしみ!
「評価 ★★★★★ ★★★☆☆ 80点」
(あらすじ)
出世を目指すニック・ヘンドリクス(ジェイソン・ベイトマン)は、毎日12時間働き、ひねくれた上司デビッド・ハーケン(ケビン・スペイシー)が昇進と引き換えに出してくるどんな理不尽な要求にも耐えてきた。
それだけ苦労すれば昇進は当然の報酬のはず……なのだが、彼はそれがいくら待っても実現しないことを知る。
一方、歯科助手のデイル・アーバス(チャーリー・デイ)は、口腔外科医(D.D.S.)の資格を持つドクター・ジュリア・ハリス,D.D.S.(ジェニファー・アニストン)のセクハラに耐える日々。
突然、アダルト映画もどきの挑発を繰り出す彼女に対し、デイルは自尊心をなんとか保とうとしていた。
そして会社で経理を担当するカート・バックマン(ジェイソン・サダイキス)は、会社の新しい悪徳経営者ボビー・ペリット(コリン・ファレル)が、彼のキャリアを潰すことに夢中になっているだけでなく、有害廃棄物を何も知らない住民たちが住む場所に垂れ流そうとしていることに気づく。
ニック、デイル、カートにとって、毎日うんざりする仕事を少しでもマシにさせる方法は、どうにも耐えられないそれぞれのボスの存在を葬り去ることだった。
もちろん、自分たちから仕事を辞めるという選択肢などあり得ない。
そこで3人は、なんとも怪しげで酒飲みの元詐欺師(ジェイミー・フォックス)のアドバイスを受けながら、絶対にしくじりようのない“上司排除計画”を考案する。
しかし、その計画には大きな穴があった。
たとえ、頭の中では最高の計画でもいざ実行に移してみると、全然ワケが違うのだった……。
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