読書「舟を編む」
何となく辞書をつくるという題材がとても魅力的だったので購入した作品。
何と、大都会ならぬ「大渡海」という辞書を編纂するストーリー。名前の由来は、日本語の広く深い海にこぎ出すための舟=辞書という意味を込めて…。
小学校の頃、初めて国語辞典を手にした時って、結構、感動しませんでした?引き方も知らんくせに、何かたくさん難しい言葉の説明が、それもびっしり書いてあるし、持ってるだけで、何か偉くなったような気がして…。日常使っているヘンチクリンな言葉をひいたりして笑ってみたり、思い返すと辞書の思い出って結構あるなと思いました。
最近では、そんな辞書をひくという行為からかなり遠ざかって、解らない言葉があればインターネットでパパッとすぐに調べてしまってます。
本書では、大人になった私たちが最近手にする事がなくなった国語辞典、「大渡海」を編集するために集まった人々のドラマティックな人間物語を描いています。人間物語といっても、お堅いものではなく、日本語うんちくには、“ふーーん”と感心したり、人と人とのつながりや愛などもたくさん盛り込まれ、すごく感動的です。
辞書は、パッと引いてパッと閉じるもので、あまり「読み込む」類のものではないが、良く考えれば何万語という言葉を載せるためには、すさまじい労力と時間がかかっている訳です。
限られた枚数の中に、字数を調整しながら、なおかつ簡潔にしっかり意味を持たせて、それを埋め込んでいく編集者の苦労は想像を絶する。辞書作りだけではない、言葉に対する情熱をもった人たちがまっすぐに生きている姿にすごく感動させられます。
仕事とは、こういうものだよね!って皮膚感覚で理解できる作品です。
そして、二つ目に感動的なのは、仕事へのプライドだけでなく、その情熱をかけた仕事をやり遂げる中で培われる人と人との関係、出会いでした。
成長とか出会いという言葉は、いくつになっても大事だなって改めて思いました。
何歳になってもこういう出会いを大切に、そして、そのような出会いができる生き方って人を大きく成長させるんですね。
“一期一会”と良く言いますが、皆さんも出会い大切にしてください。
「評価 ★★★★★ ★★★★☆ 90点」
関連記事