ミュンヘン
以前から気になっていた話題作!
巨匠スピルバーグ監督作品
「
ミュンヘン」
をみました。
「ストーリー」(
yahoo!ムービーより)
1972年9月5日、ミュンヘンオリンピック開催中、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー/黒い九月”によるイスラエル選手団襲撃事件が発生した。激怒したイスラエル機密情報機関“モサド”は暗殺チームを編成、報復を企てる。リーダーに任命された一人の男、アヴナー。人を殺したことなどない彼は妊娠7か月の妻を残し、愛国心と哀しみを胸にヨーロッパに渡る。やがて他の4人のスペシャリストとともに、アラブのテロリスト指導部11人を一人一人消して行くアヴナー。指示を受けるがまま任務を遂行、見えない恐怖と狂気の中をさまよう男たち……。私たちは正しいのか? 果たしてこの任務に終わりはあるのか? そして、愛する家族との安らぎの日々は待っているのだろうか……。
※さらに詳しい事件の内容を知りたい方は…(
こちらをクリック!してください)
観賞後の感想は、…。
「悪くはない」。それ以上でも以下でもありません。
実行犯のパレスチナゲリラを暗殺するように命令された機密情報機関「モサド」の特殊工作員の苦悩を当事者の視線で描き出すことで、「政治的・軍事的視点からのみで語られることの多い、この恐ろしい出来事に人間的側面を加えることができる」とスピルバーグ自身が語っているように、2時間40分近くの超大作なのですが、作品の内容の深さに集中してみることができました。
任務の過程で「自分は本当に正しいことをしているのだろうか?」と疑問と苦悩を抱えながらも、国のため、民族のため、任務を続け、その任務を終了し、家族の元に戻るアヴナーですが、今度は自分や家族が狙われているのではないかという新たな苦悩の日々が始まります。
その苦悩は、ラストシーンにおいて、「任務が終わっても逃れられない現実、割り切れない思い・、安らぎは永遠にやってこない」と、象徴的に示されます。
確かにすばらしい作品であることは間違いないのですが、どうも私の中でストンと心に落ちない部分があるのです。確かに主人公の苦悩を旨く表現しているし、人間的側面を深く掘り下げようとする意図は伝わってくるのですが、イマイチそれが十分に私の心に伝わってこないところがあるのです。
自らもユダヤ系であるスピルバーグが、今回の作品によって、いまだ現在も「血で血を洗う紛争」を続けるイスラエルを描いてみせたというのは、非常に彼にとっても重いことだし、そのことが作品の重みともなっていると思います。
けれど、何か「押しつけがましい部分」を感じるんです。私が、スピルバーグをある面で色眼鏡で見ている所もあるからなんでしょうか。言い過ぎかも知れないですが、「ユダヤ系の出自」を使ったミエミエのいやらしさも少し感じます。
「捲し立てるような押しつけがましさ」ではなく、もっと人間的に深い苦悩の部分を重厚に描いてくれていたら、(スピルバーグほどの監督なら描けるはずだ!)という気がどこかでするんです。
その辺が、個人的に「それ以上でも、それ以下でもない」というところなんです。見る人によって感じ方は違うと思いますが…。
公式サイト→(こちらをクリックしてください!)
http://www.munich.jp/
「総合評価 ★★★★☆ 90点」
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