読書「12歳のキミに語る憲法」

2012年01月18日

みなさん、憲法って真剣に読み込んだことありますか?

学生時代に、憲法の最高法規性にはじまり、色々なことを学ぶはずですが、憲法とはなんぞや?といざとわれると窮する方が多いのかも知れません。

また、憲法を守らなければならないのは“国民”であると思っておられる方が結構いるようです。

国民が守らなければならないのは、憲法ではなくて“法律”です。
法律は国民の権利を守るため、最大限権利を尊重される各個人の暴走を防ぎ、制限するものです。
よって、社会秩序を維持するためだけではなく、各個人の人権(権利)を守るためにも、各々の国民には法律を守ることが求められます。
では、“憲法を守るべき”なのは、いったい誰なのでしょうか?


「12歳のキミに語る憲法」福島みずほ編、岩崎書店
読書「12歳のキミに語る憲法」

















憲法の最後の方に「99条 憲法尊重擁護義務」という項目があります。
そこには、次のようにあります。
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」

ここで大切なのが、99条の主語は“国民”ではなく“公務員”であるということです。
ここでいう公務員とは、国家公務員や地方公務員だけでなく、検察官、警察官、自衛隊員、公立の学校の先生、国立大学の教授や職員等の行政に携わる人を指します。
そして、別の視点から見ると、これらの公務員=国家権力となります。

つまり、憲法は国民の権利を守るために、政治家や公務員など権力を行使する人たちが守らなければならないものなのです。
以上をまとめると、法律は国民を縛り、憲法は権力者を縛る=制限するものだと言えるわけです。


職業柄、憲法を題材にした書物は結構読んできました。
しかし、数冊を除いてその多くは、中高生がトライするには、ちょっと敷居が高い感がありました。
しかし、本書は“凄く読みやすいし、理解しやすい”なおかつ“各条文の関連まで知ることができる”という優れものです。

下記のように、様々な分野で活躍する方々が、それぞれの活動分野に関連する条文をあげて説明しています。

雨宮処凛  (働く:第27条)
稲葉剛(「人が生きる」大切さ:第25条)
福島みずほ(結婚と男女平等:第24条)
森達也(言論の自由:第21条)
大谷恭子(教育を受ける権利:第26条)
伊勢崎賢治(外国から見た平和憲法:第9条)
山内徳信(平和憲法のもつすごさ:第9条)
斉藤貴男(戦争と格差社会:第9条)

大変読みやすい文体でわかりやすく書かれてありますので、もう一度、“私たちの素晴らしい憲法”を見直してみてはいかがでしょうか?

「評価 ★★★★★ ★★★★☆ 90点」

(目次)
働く—この生きづらい社会で「働く」って、どういうこと?
「人が生きる」大切さ—食と職が守られていますか?
結婚と男女平等—女性の生きる道は整いつつあるけれど
言論の自由—もし、自由にモノがいえなくなったら
教育を受ける権利—だれもが学校に行って、勉強できる社会に
外国から見た平和憲法—外国人がうらやましがる憲法九条だけど
平和憲法のもつすごさ—基地のない平和で豊かな沖縄を目指して
戦争と格差社会—戦争の足音は近づいている
日本国憲法全文



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Posted by no-bu at 06:50│Comments(2)読書
この記事へのコメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
Posted by 株主の権利 at 2012年01月19日 15:12
株主の権利さん
コメントありがとうございます。
ぜひぜひ、遊びに来てください。
自分の趣味を書き出しているだけのブログですが…。(^^;)
Posted by no-bu at 2012年01月20日 07:05
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