11月28日の記事

2015年11月28日

ラグビーのルールとサッカーのルールに共通する反則、それがオフサイド。
しかしながら、サッカーとラグビーのオフサイドの大きな違いは、ラグビーのそれがサッカーのオフサイドに対して複雑で難解なことであろう。
ラグビーには、その他にも難解なルールがたくさんあるが、大きな男たちがチームメートのために体を張りトライを目指す中で、荒々しく野生的なプレーをしながらも、瞬時にそのプレーがルールに適合するのかしないのかを判断しながら、ルールにのっとり紳士的にプレーするところにその魅力がある。

簡単に両者のオフサイドの違いについていうと、サッカーではオフサイドはハーフウェイ・ラインより前方の相手方エリアだけに適用されるが、ラグビーでは敵味方の両方のエリアに適用され、そこにはジェネラルなオフサイドだけでなく、アクシデンタル・オフサイドに始まり、リメイン・オフサイド、10mオフサイドなど、様々な場面でのオフサイドが規定されており、選手はそれらを瞬時に判断しなければならない。

11月28日の記事




























[目次]
序章 オフサイドとは何か(問題の所在;オフサイド・ルールの条件;オフサイドの適用 ほか);
第1章 オフサイド以前(分岐点;いろいろなフットボール;マス・フットボール ほか);
第2章 オフサイドの出現(生活感覚の変化;「校庭」の成立;「校庭のフットボール」の特徴 ほか);
終章 具体から抽象へ

本書で初めて知ったことがたくさんあった。
だんだんと読み進めていくうちにのめり込み、あっという間に三時間くらいで読了。
掻い摘んで説明すると、もともと、フットボールは、街の中でボールを奪い合いながら敵陣までボールを運ぶ祭りの行事だったらしい。
そこで、祭りの日は、非日常のハレの日であり、かつこうした祝祭は共同体の絆を強めることも目的としている。
だから、この場合に大事なのは、勝敗ではなく、できるだけ長い時間試合の楽しみが続くことであった。
また、面白いことに、こうした祝祭のフットボールは無礼講が許されており、しばしば強欲な領主や不正な蓄財をしている地主を襲撃する口実としても使われた。
そのため、ある時期には、祝祭としてのフットボールは禁止令を出され、制約を受けることもあった。
その後、パブリックスクールが隆盛となり、それまで街の中や空き地で行われたフットボールが校庭で行われるようになり、次第にその中身が変化し、競技へと移行する。
勝敗を競うものに変わったのだ。
しかしながら、そうなった後も1点先取と長時間享受の伝統は保持された。
その1点先取と長時間のプレーを成立させるために、ゴールに向かいながらボールの前方でプレーするすることを制限する一見不合理なオフサイドのルールが残ったという訳である。

「こそ泥のように」「ぶらぶら」と「意図的」に「チームを(離れた)位置」でプレー」し、得点のために手段を選ばない「勝利志向的な−したがって競技を早く終了させる−行為」(本書p242)は、フットボールの醍醐味を破壊する「汚い」プレーとして指弾ないし禁止されるようになる。

歴史を紐解くことで、あらためて、フットボールだけでなく、ラグビーの奥深さを知り、さらにラグビーが好きになった。

ラガーだけでなくフットボールプレーヤーもぜひ読んでみてほしい一冊である。



★Face bookもよろしく!→http://www.facebook.com/#!/hironobu.higa

Posted by no-bu at 17:03│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。