『読書の技法』 佐藤 優

2012年10月16日

さて、本来ならば、すでに出勤しているこの時間帯…。
本日は、息子が学年代表として学校の童話大会で学校代表をかけて闘う日!
そのため、午前中は、お休みを頂き、応援に向かいます。

この代表をかけての闘いにのぞむことになったのは、全くの予想外の出来事。

どこでも一緒の光景が繰り広げられることでしょうが、夏休みの宿題で童話を覚えることになっていたが、得意のマイペース行動で宿題が終わったのがギリギリになり、当然、童話も中途半端…。

しかし、まわりは皆同類…。

みーんな覚えていなかったのか、クラスで童話大会を終えた時点で、クラス代表に選考される最終二人に残ってしまった。

そこからようやくやる気を出し始め、練習を重ね、本人をはじめ周りも家族も全く期待していなかったにもかかわらず、学年の代表に…。

普段から、非常~~~~にのんびり屋の彼ですが、この一週間は、“代表としての責任”を感じたのか、親に尻を叩かれながら、かなり一生懸命練習しました。

この二日間は、私と猛特訓の連続…。

もともと、滑舌が悪く、サ行の発音がかなり苦手な彼ですが、その部分でも一生懸命練習をがんばり、かなりはっきり聞き取れるようになってきました。

さて、結果はいかに?

今回のがんばりと結果が今後の彼の自信となり、その自信が、彼の新しい道を拓くことになってくれると嬉しいのですが…。



さて、前回の投稿で“読書の秋”ですが、時間がなく、なかなか本を読むことができていないという話をしました。

“知は力”と良く言いますが、豊かな知識を着実に自分のものとし、それを糧に人生を豊かに生きていくために、私が最も重要だと考えるのが、読書」。

しかし、その前に立ちはだかるのは、「時間」という制約。
おそらく、これは全世界どこに行っても共通の大きな悩みの一つではないでしょうか。

時間とは、人間のあらゆる行動・経験において、最大の制約条件で、そのため、読書という行為から見ると、一生で読める本の数は限られてしまいます。

だからこそ、本から多くの知識・知見を得て、そこから豊かな人生をおくるためのエッセンを創造していくためにも、“限られた時間の中で”、“読むべき本をしっかりと見極め”、“ッその本を徹底的に理解する”ような読書をする必要があります。

『読書の技法』 佐藤 優

今回、紹介する『読書の技法』の著者、“佐藤 優”さんも、著書のはじめに次のように述べています。

なぜ読書術が知の技法のいちばん初めに位置付けられなくてはならないのだろうか。それは人間が死を運命づけられているからだ
そして、彼は、だからこそ

『熟読する本をいかに絞り込むかということが読書術の要諦なのである』
と述べています。

佐藤氏は、月平均300冊以上に目を通すという、恐るべき読書量で、彼の客観的で、独創的でかつ辛辣的なものの見方・分析力も、この読書の世界に裏打ちされているのでしょう。

(本書の概要)
●佐藤流「熟読」の技法―どうすれば難解な本を読みこなせるか?
・知りたい分野の本は3冊買って、まずは真ん中から読む
・本全体にシャーペンで囲みを作り、重要箇所を抜き書きした「読書ノート」をつくる
・熟読の要諦は、同じ本を3回読むこと。基本書は最低3回読む

●佐藤流「速読」の技法―どうすれば大量の本を速読できるか?
・1冊5分の「超速読」と30分の「普通の速読」を使いこなす
・「超速読」で、読むべき本の仕分けと、本全体の中で当たりをつける
・「普通の速読」は「インデックス」をつける読み方。新聞の読み方を応用する
●佐藤流「教科書や学習参考書」「小説や漫画」の実践的な読み方
・読書の要は「基礎知識」。基礎知識のない本は、速読しても指の運動にしかならない
・基礎知識を身につける最高の本は、じつは高校の教科書と学習参考書
・小説や漫画は「娯楽+代理経験+社会の縮図・人間と人間の関係の縮図」として読む



佐藤氏いわく、月平均300冊以上の本を読むと言っても、“熟読”している本は月に4~5冊ということ…。
ここで“速読”の方法の中から“熟読”すべき本を見つけ、その“熟読”の中から以下に自らの血となり肉となる部分を得ることができるのかが?大きなポイントという。

つまり、読みたいと思った本を、“全て”ただ漫然とダラダラ時間をかけて読むのではなく、その本の質を判断し、「熟読、速読、超速読のいずれかの方法で処理」し、熟読の中から、知識として定着させるために、重要点を「読書ノート」にまとめることを習慣化しているようです。

 
熟読:最低3回読む+読書ノート 4~5冊/月
 速読:1冊30分~3時間+読書ノート 50~60冊/月
 超速読:1冊約5分 240~250冊/月


本には、「簡単に読むことができる本」、「そこそこ時間がかかる本」、「ものすごく時間がかかる本」の3つがあり、読まなくてもいい本をはじき出すために速読が必要だといいます。

本書の中で、最初に非常に参考になると思ったのは、読むに値する本を探すための方法。

それが、(1)専門書売り場の書店員を活用する、(2)優れた論者の出典をチェックする、(3)読みやすい導入部や結論が書かれた最終部ではなく本の真ん中部分を先に読んで本の水準を推測する等の方法。

さらには、歴史や政治、経済など、基礎知識がなければ速読不可能な分野に関しては、急がば回れ方式で、高校レベルの教科書と学習参考書を活用する必要があるといいます。さらに、本書では、そのために必要なリストも巻末に掲載されています。

5章では、「教科書と学習参考書を使いこなす」として、高校で学ぶ各教科をどのような視点・方法で真鍋はよいのかが述べられており、中学生・高校生にはかなり参考になる部分だと思います。

さらには、数学と国語の共通点などについても触れられています。
「俺は文系だから…」といいはり、苦手を理由に数学に全く手を出そうとしない生徒にぜひ読んでもらいたい内容です。

ひいては、数学の勉強が政治状況の分析に役立つという例も、佐藤氏の鳩山由紀夫に対する見方として提示されています。
ここらへんは、一般の鳩山批評にはなかった新しい視点からの内容で、個人的には、非常に面白く読ませて貰い、ある意味非常に感心しました。
こうした視点からの批評も、これだけの読書をこなす彼ならのものでしょう。

ちなみに、佐藤氏は、鳩山の発想は数学の偏微分な発想であると述べています。

鳩山さんは普天間及び沖縄の基地問題を個別の問題として微分し、沖縄、アメリカ、海兵隊などの問題を構成要素と捉え、基地問題を関数体として考えた。
ひとつの構成要素を動かすことで関数体に変化を起こしていくというやり方。
ただ、当たり前ですが政治は常に過去の歴史も踏まえた積分の思考も必要で、特に沖縄は先の敗戦からアメリカの統治、日米安保条約などの複雑な背景がある。鳩山さんはその部分が足りなかったから普天間問題で失敗した。

読書をいかに効率的にこなすか?を書いた本書、ぜひぜひ、多くの方に読んでもらいたいと感じました。

評価・感想 ★★★★☆ 90点


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Posted by no-bu at 09:25│Comments(0)読書
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