魂の叫び~『善き人のためのソナタ』
2008年02月11日

「この曲を本気で聴いた者は、悪人になれない」
07年アカデミー外国語映画賞受賞作
「善き人のためのソナタ」 を鑑賞。
じわりじわりと観る者の心にしみる素晴らしい作品です。
2006年/ドイツ/138分/アルバトロス・フィルム
監督:F・H・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック
公式サイト
(ストーリー)
1984年、東西冷戦下の東ベルリン。
国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
成功すれば出世が待っていた。
しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。
国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。
ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制維持のために国民の監視活動をおこなっていた「シュタージ」の実態を暴き、彼らに翻ろうされた人々の人生の苦悩を浮き彫りにした作品。
この作品の監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクは、33歳。何とこの作品がデビュー作だというから驚き。
後から調べて分かったことだが、彼はこの作品の脚本の作成のために歴史学者や目撃者からの裏付け調査に丸4年を費やしたということ…。素晴らしい作品ができるわけだ。納得…。
ベートーベンの『熱情ソナタ』を「この曲を本気で聴いたら革命はできない、悪人にはなれない」、とレーニンが批判した。
これは、作品中で劇作家が「熱情ソナタ」を弾きながら恋人に語った言葉。
作品名からも分かるように、この作品のテーマもそこに焦点化されている。
簡単に言うと、性悪説をとるか性善説をとるかということ…。
作品を鑑賞中、国家に翻弄されながらも、本当にこれで良いのかと葛藤する登場人物たちの魂の叫びを感じながら、ずっとそのテーマについて考えていた。
その結論は、作品を見てもらえば分かるだろう。
脚本も素晴らしいのだが、出演者の演技もとにかく素晴らしい。
監視する方にも監視されている方にも、人間としての魂のゆらぎがあり、それぞれがどこかに深い哀しみを背負いながら生きざるを得ない苦しさがありありと感じ取ることができた。
まだ、ご覧になられていない方は、ぜひどうぞ。
おすすめの作品です。
人間って素晴らしいと思わせてくれる作品でした。
(追記)
これも後で知ったことだが、主人公ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエ氏は、昨年の7月22日に胃がんのため54歳で死去されたらしい。
この作品が遺作になったわけだ。
非常に残念でならない。
1984年、東西冷戦下の東ベルリン。
国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
成功すれば出世が待っていた。
しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。
国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。
ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツを舞台に、強固な共産主義体制維持のために国民の監視活動をおこなっていた「シュタージ」の実態を暴き、彼らに翻ろうされた人々の人生の苦悩を浮き彫りにした作品。
この作品の監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクは、33歳。何とこの作品がデビュー作だというから驚き。
後から調べて分かったことだが、彼はこの作品の脚本の作成のために歴史学者や目撃者からの裏付け調査に丸4年を費やしたということ…。素晴らしい作品ができるわけだ。納得…。
ベートーベンの『熱情ソナタ』を「この曲を本気で聴いたら革命はできない、悪人にはなれない」、とレーニンが批判した。
これは、作品中で劇作家が「熱情ソナタ」を弾きながら恋人に語った言葉。
作品名からも分かるように、この作品のテーマもそこに焦点化されている。
簡単に言うと、性悪説をとるか性善説をとるかということ…。
作品を鑑賞中、国家に翻弄されながらも、本当にこれで良いのかと葛藤する登場人物たちの魂の叫びを感じながら、ずっとそのテーマについて考えていた。
その結論は、作品を見てもらえば分かるだろう。
脚本も素晴らしいのだが、出演者の演技もとにかく素晴らしい。
監視する方にも監視されている方にも、人間としての魂のゆらぎがあり、それぞれがどこかに深い哀しみを背負いながら生きざるを得ない苦しさがありありと感じ取ることができた。
まだ、ご覧になられていない方は、ぜひどうぞ。
おすすめの作品です。
人間って素晴らしいと思わせてくれる作品でした。
(追記)
これも後で知ったことだが、主人公ヴィースラーを演じたウルリッヒ・ミューエ氏は、昨年の7月22日に胃がんのため54歳で死去されたらしい。
この作品が遺作になったわけだ。
非常に残念でならない。
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Posted by no-bu at 19:55│Comments(0)
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