テイク・シェルター

2012年09月17日

皆さん、何か以上に最近、不安になることありませんか?

いやいや、何も私は、誰かが私をずっと監視しているとか、追いかけているとか、陥れようとしているとか、誰かが私を呼んでいるとか、思っているわけではありません。

いまここの私のこの幸せな日常のささやかな生活は、いつまで続くのか?
すごく単純な疑問ですが、3.11のあの日以来、たまにそのことが頭をふとよぎります。

そんなことは、万に一つだから…。
なんて悠長なことは、現在の状況を見ていると、言えません。
私のような思いや不安は、実は、口にはせずとも、多くの方々が心の深層の部分で感じていることではないかと思います。

テイク・シェルター


「テイク・シェルター
監督・脚本:ジェフ・ニコルズ 
出演: マイケル・シャノン、ジェシカ・チャステイン、シェー・ウィガム、ケイティ・ミクソン、キャシー・ベイカー




(あらすじ)
その悪夢はある日突然はじまった。
田舎町の工事現場で働くカーティス(マイケル・シャノン)は、耳の不自由な娘ハンナ(トーヴァ・スチュワート)と妻サマンサ(ジェシカ・チャステイン)と慎ましくも幸せに暮らしていたが、あるときを境に、たびたび大災害の悪夢に悩まされるようになる。
そのあまりに恐ろしいイメージは日ごとにリアルさを増していき、やがてその恐怖に取り憑かれてしまうカーティス。
近いうちに必ずや地球規模の天災が発生すると信じてやまない彼は、家の近くに深く穴を掘り、避難用シェルター作りに没頭し始めるが、家族や友人はまったく彼の行動に理解を示さず、むしろ不信感を募らせる一方だった。
果たして、カーティスの常軌を逸した言動は哀れな妄想なのか、それとも…。

この作品の脚本は2008年に書かれたものらしいです。
上記のあらすじにあるように、カーティス(マイケル・シャノン)は、ブルーカラーながら安定した雇用に守られ、妻(ジェシカ・チャステイン)や耳の不自由な娘と幸せに暮らしていました。
しかし、大災害の悪夢を見るようになって以来、庭に頑丈なシェルターを作らねばとの強迫観念にとらわれていきます。
そこから彼と彼のささやかな日常の幸せな生活は、徐々に崩壊を始めます。

2008年頃のアメリカは、いわゆるリーマンショックの影響で、倒産や失業が相次ぎ、多くの人のささやかな日常の幸せが、想定もせずにある日突然に崩れていくケースがそこら中にあったはずです。
そのような誰も崩れていくとは予想だにしない、絶対に思わない、想定だにしない日常の突然の崩壊は、いまそこに、誰の前にでも起こりうるものであるということ~日本の3・11の天災と人災のように~を、アメリカでも日本でも多くの人びとが実体験として感じ始めているというこの時代状況に、この作品は非常大きなインパクトを持つとも言えます。

例えば、津波による原発の事故は、想定外だったと東電や政府関係者は言い続けましたが、実は原発が孕むそのような危険性は、ずっと前から言われ続けてきたことだし、それをいたずらに不安をあおっているとか、杞憂だとか、多くの人達は、そういう扱いをしてきたのではないでしょうか。
実際に、それが現実のものとなったとき…。
そう言い続けてきた人達、いい加減に扱ってきた人達は、いま何を考え、思っているのでしょうか?
 
本作品では、最後の最後まで、実際、カーティスの悪夢が統合失調症患者の妄想なのか、それとも実際に起きてしまう神のお告げ的なものなのかは、判断が分かれるところでしょう。
一方では、妻のサマンサもカーティスの狂気に感化され、精神的におかしくなったという見方もあるでしょう。
また、自分はおかしくないんだと信じたいカーティスが、サマンサ自身も私と同じように悪夢を感じているのだと幻想しているという見方もあるでしょう。
もしくは、カーティスは、本当に破滅を予知していて、それが現実のものとなったと見ることもできるでしょう。
判断は分かれるところですが、皆さんはどう解釈しますか?

見る人によっては、評価が大きく分かれるところだとは思いますが、私的には、時代状況にもマッチしている部分で、いろいろと考えさせられる部分もあり、面白い作品だなと思います。

総合評価 ★★★
☆ 70点



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Posted by no-bu at 19:42│Comments(0)映画
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