マシンガン・プリーチャー

2012年09月27日

衝撃的といえば、衝撃的なんだろうけど…。
見る人によっては、賛否分かれるだろうな~。

マシンガン・プリーチャー


元麻薬売人からアフリカの子どもたちの命を守る人生へ

“銃を持った牧師”と呼ばれる、サム・チルダースを知っていますか?

マシンガン・プリーチャー



壮絶な彼の人生を通して世界の真実がみえてくる――






「マシンガン・プリーチャー」
監督・製作:マーク・フォースター
製作総指揮・出演:ジェラルド・バトラー
出演:ミシェル・モナハン、マイケル・シャノン、キャシー・ベイカー、スレイマン・スイ・サヴァネ、マデリーン・キャロル

(サム・チルダースの活動について)(公式ページより)


<生い立ち>
1962年6月生まれ(現在49歳)
サム・チルダースは、ペンシルベニア州で慎み深く誠実な両親のもと育てられた。
しかし、小さい頃から何かと問題を起こしては、元海軍の父親から「そのうち誰かに殺されるよ」と言われていた。
10代から、サムはよく喧嘩を起こし、またドラック売人になり、女遊びも激しかった。
彼は暴力と犯罪と隣合わせの生活に陥り、やがてショットガンナーと呼ばれる麻薬売人のための銃携帯のガードマンとなる。
同時期に、彼は後に妻となるストリッパーのリンと出会うのであった。
サムは父親のあの言葉のように、いつか麻薬関係で殺される日が来るのではないかという不安がよぎるようになった。
そして、ゆっくりとではあるが足を洗う努力を始めた。
彼は建設現場の仕事を見つけ、ドラッグと酒を止めることに成功する。
一方、リンは昔行ったきりになっていた教会に再度通い始めたのだった。
サムも信仰をきっかけに、人生を再スタートさせた。ゆっくりではあるが、物事は良い方向へ向かっていった。
リンは健康な女の子を出産し、サムは自ら建設業を始めた。
すぐそばまで人生最大のチャレンジが待ち受けているとは誰も知らなかった。
1998年、サムは南スーダンのYei村を訪れる。
そのころアフリカは第二次スーダン内戦の真っ只中である。
彼は本国の司祭に促され、内戦の被害にあった住居を修復する派遣団体に参加したのだった。
この任務中、サムは偶然地雷によりバラバラになった子どもの死体を発見してしまう。
彼はひざまずき、そして南スーダンの人々を救うためなら何でもしようと神に誓ったのであった。

<スーダンの村に孤児院をつくる>
孤児院をつくるという彼の考えは、地元の人たちにとっては到底実現出来ないであろう理解し難いものだった。
LRA(神の抵抗軍)は3万人(※2009年時点、現在は推計20年間で4万人以上)の子ども達を誘拐し、数十万人にも上る市民を虐殺した野蛮な抵抗軍がこの地域を支配していたからだ。
しかし、サムは頑固であった。
彼は米国に戻り、建設業の仕事道具を売り払い、アフリカに金を送った。
そして、徐々に孤児院は形を成していった。
昼間は雑草を刈り取り、子どもたちが住むことになる小屋を建てた。
夜は聖書を片手に軍用小銃AK-47をもう片手に、かやを吊るした木の下で睡眠を取った。
一方、ペンシルベニア州でのリンと娘のペイジは別の窮地に立たされていた。
自家用車は差し押さえられ、家は抵当に入れられていた。
サムは住宅ローンを払うか孤児院を完成させるかのどちらかを賄えるだけの金しか持っていなかった。
結果、彼は有り金をアフリカに送ることを選択する。
孤児院が完成すると、サムは武装した一軍を率いてLRAから子どもたちの救出を始めた。
彼の活動のうわさは瞬く間に広まり、いつしか村民は彼のことを「マシンガン・プリーチャー」と呼ぶのであった。
13年後、1000人以上の子どもの収容経験を持つサムの孤児院は南スーダンで最も大きい孤児院となっていた。
そして今日でも200人以上の子どもたちがその孤児院で生活している。
不幸にも、今だ多くのスーダンの子どもたちが被害に合い、救いの手を求めている。
サムとリンは今でもペンシルベニア州の同じ家に住み、13年前と変わらずスーダンの子ども達の窮地に手を差し伸べている。



本作品のエンドロールで主人公、サム・チルダース本人が、こう言っている。
もし、あなたの子供や家族が誘拐されたとする。そこで俺が連れ戻してやると言ったら、あなたはその方法を問うだろうか?

この質問に「いいえ」といえる人はなかなかいないだろう。
中には、そう答えない方もいるかも知れない。
理想論では、なるべく“暴力”を排除する方法で…と心のどこかでは、思うかもしれない。しかし、現実的には、多くの人は「当然、自らの愛する人が何ものかにさらわれ、その命が危うい状況にあるならば、それを奪還するために、その手段を問わない」と思う。

まさに、サム・チルダースは、この理想論と現実の狭間で闘っている。
スーダンでは、長年、北部のアラブ系(イスラム教)の政府と南部のするアフリカ系住民(アミニズム・キリスト教)の血で血を洗う内戦が続き、この内戦の犠牲者は200万人近くに及ぶと言われる。
こうしたスーダンの内戦に絡んで、南部の弱体化を狙う北部スーダン政府の支援を受けて登場するのが、LRA(神の抵抗軍)だ。
サム・チルダースが闘う相手、それがこのLRA(神の抵抗軍)なのだが、このLRAは元々隣国のウガンダを拠点とする反政府勢力で、北部スーダン政府の支援を受け、南部スーダンまで足を伸ばして村々を襲い、子供たちを誘拐していく。誘拐された子どもたちはというと、男の子は子供兵士に、女の子は売春婦にして搾取される。
このLRA(神の抵抗軍)の創設者で、四半世紀の間リーダーとして君臨するジョセフ・コニーは、聖霊と話が出来る霊媒を自認するキリスト者でもあり、LRAは言わばキリスト教系のカルト集団である。
こうしたLRA(神の抵抗軍)の蛮行に関しては、当然、世界中から大きな批判を浴びており、その事実や批判、対応に関しては、「コニー2012」といわれる米国を発信源とするキャンペーン動画に詳しい。(この動画に対する評価は、賛否両論分かれているが、ここではそのことについて論じない)





さて、何かを守るために、力は力で応戦するとの考え方は賛否分かれるだろう。
サム・チルダースも活動を進めていく中で、当初の彼の思いと行動は、彼の衝動的な性格にも影響されているだろうが、違う方向へと進んでいく。
ある日、自分を狙ったLRAの凄腕スナイパーを射殺したら、彼もまた子供兵士だったというやり切れない現実を突きつけられ、その事に精神的に追い込まれていくサム。
追い込まれていった彼の思いは、「子どもたちを守る」ということから、「自分の行動を阻害する者たちへの憎しみ」へと変貌してしまうのである。

そんな追いつめられたサムの心を救うのは、かつて彼が救い出した一人の少年の言葉だった。
私自身の精神状態も作品を鑑賞する過程で、冷静な精神状態を失い、その憎しみは怒りと暴力の正当化へと向かっていたところだった。

憎しみで心を満たしたら、奴らの勝ちだよ

村を襲ったLRAの兵士に命じられ、自らの手で母親を殺したという壮絶な過去を持ち、今も生き別れになった弟の行方を捜し続けているこの少年の言葉は、静かにそして力強くサムと私の心に突き刺さった。そして、私たちは、ふと我に返った。

あなたは、この作品を見て、何を感じ、何を考えるだろうか?
多くの人にこの作品のこと、そしてスーダンの現実について知って欲しい。

「総合評価 ★★★☆ 75点」



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Posted by no-bu at 12:10│Comments(0)映画
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